3rdイラスト集「夜に奏でる作り話」の見どころ
存在しない映画、存在しないスイーツ店────私と一緒に存在しない世界の話に耳を傾けてみませんか。今回のイラスト本は私の妄想途中を描いた幻覚本になっています。具体的には「こんなアニメ映画を作りたいな」が2本と、「洋菓子店のパッケージイラストを描いてみたいな」が1本。皆さまからしたらどういうスタンスで見ればええんやって感じかもしれませんね。なんでしょう。未完成作品の原案を/依頼されてもないイラストの成果物を見てほしい、といえばいいのでしょうか。また設定や名付け、ロゴなど細かいところも、できるだけリアルに感じてもらえるようにこだわって作ったので、そういう点も見てくれると嬉しいです。
「これ面白いものになるんじゃね?」と思ってくれた人と一緒にチームを組んで本当に制作することができたら。そんな淡く傲慢な期待を込めて出版しました。なのでチラッと目を通してくれるだけでも嬉しいです。そして、いつか本当にこのイラスト本に載せたものの完成版を世に出したときに、この本を手に取ってくれた人が答え合わせをできたら。それってすごく素敵なことかも!
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コンテンツ紹介


①劇場版オズ・フレキシブル
個性豊かな5人の吹奏楽部員がそれぞれの悩みに向き合いながらフレキシブル五重奏を完成させていく青春ストーリー。
②水曜日にさようなら
世間を知らない少女と彼女に仕えるメイド。メイドは何やら秘密を抱えているようだが……?“ふたり”の友愛と葛藤を描いた淡い夏物語。
③四季と洋菓子の店パルタージェ
パルタージェ-partager-はフランス語で「分け合う、シェアする」という意味を持ちます。当店自慢の季節のミニタルトをどうぞご賞味あれ。
余談: 制作に至るまで
なぜ今回、純粋なイラスト集ではなく、このような設定本的なものを作ろうと思ったのか。これは毎月の壁紙イラスト制作がきっかけでした。
1月はへびと着物を、2月はバレンタインと猫の日に関連したものを、3月は……と具体的に描くものと方向性(和洋、恋愛もの・青春ものなど)が決まって調べることが増えるうちに自分の頭のなかでイラストと同時にストーリーができあがっていく感覚があり、これは壁紙として描くよりも考えた設定丸ごと出したほうが面白いかもと思ったのです。
実は1月の「へびと着物」で考えた設定もあり、今回の新刊に組み込む予定だったのですが、色々と間に合わなかったので代わりにここで放出しておきましょう。新刊の内容のサンプル程度に思ってくれたら幸いです。
『タイトル未定』
A子 …歌うのが大好きな女の子(15)。芸妓として芸を磨き、歌姫になるのが夢。
B男 …A子の幼馴染で冴えない男の子(15)。A子の歌声が好きでA子の夢を本気で応援している。
蛇神 …復活と再生の神。人間のA子に対して好意を抱き、自分のものにしようとする厄介者。
あらすじ: ある日事故によって思うように声を出せなくなり悲しみに暮れるA子。そこでA子は蛇神と契約を交わし、さらに美しい声を手に入れ一気に芸能世界でスターにのしあがる。元の声を好いていたB男としては少し複雑な心境だったが、それでも芸妓として活躍する彼女を変わらず応援していた。しかし、蛇神との契約の代償として神の国に連れていかれると知ったB男は「美しい声などなくても君は素敵だから」とA子のことを説得し、人間世界へ戻そうとする。
時代背景: 江戸らへん
何が間に合わなかったかといえば設定の詰めです。少女が芸妓になる夢を抱くことって当時は応援される空気になるものだったのだろうか、とか、契約の内容がふわっとしてるなあ、とか。ここがちゃんとしてないとキービジュアルもキャラも描けないと思い今回は諦めました。時代も場所も今自分がいる地点から離れれば離れるほど設定がどこか曖昧になってしまいますね。でも、大筋は面白いと思うからいつかどこかでちゃんと発表したいな(^_^)